明日!『歌え!悲しみの深き淵より』2023最終ステージ
明日!『歌え!悲しみの深き淵より』2023最終ステージ

明日!『歌え!悲しみの深き淵より』2023最終ステージ

「2022.9.5」台本の裏表紙に書かれた自分の署名の下には、その台本を渡された日付が記されている。私の習慣である。

『歌え!悲しみの深き淵より』との格闘を始めてから半年の月日が過ぎようとしている。そして、明日はこの作品がお客様の前で演じられる最後のステージとなってしまった。この作品に関わり、生命を吹き込んだ多くの関係者の結晶が、観客という最後の参加者によって結実する奇跡の時間も、明日の13:30~16:00までとなる。

この台本を初めて読んだときは正直きつかった。心情的にだ。自分と父との関係に重なる部分のいかに多い事か。フィクションにならない。気持ちは逃げていた。

ある方に言われた。「この作品は多くの観客に力を与えてくれる。そんな本です。」

前向きに立ち向かい始めた。稽古の日々はまず膨大かつリフレインしながら微妙に変化し続ける台詞を正確に身体に入れる作業にいつも以上の時間を要した。そして心理の表と裏、飛躍と停滞、変化の流れを自分の呼吸で生きる稽古に頭を抱えた。

そして、初日の幕を開け想像を超えた反響をいただきながら、亀の歩みを続けてきた。それが終わってしまう。

しかし、まだ1回がある。

この舞台は是非ご覧いただきたい。今、切に願います。

今ある全ての自分の精神と肉体を捧げて板に立ちます。。。

劇場でお待ちしております。

写真はゲネプロより(撮影:古山華誉)